自分の演奏を録音して聴く

とても上達する練習方法があります。それは「自分のヴァイオリンの音を録音して聴く」ことです。世の中色々な練習方法がありますが、これほど上達する方法はなかなかありませんね。

自分の演奏を録音して聴くと、とても色々なことが分かります。

まず音程です。音程が悪いのは耳が悪いから、と思っていませんか?しかし仮に音痴な人でも、自分の演奏を録音して客観的に聴いてみると、音程が悪いことが手に取るように分かります。少なくともクラシックのCDを良く聴いてきた人なら、まず音程が聴き分けられないことは少ないです。

問題は「自分が弾いている時に自分の音を聴いているかどうか?」なんです。いくら気を付けても演奏しながら自分の音を聴くのはとても難しいです。

これは録音して聴いてみるとすぐに分かりますが、想像と全く違う音で驚くことが多いです。誰でも大なり小なりそういう傾向がありますし、ベテランでも意外に自分の音は聴けていないものです。

音色・強弱などは録音機材の性能によるので、あまり参考になりませんが、音程やリズムははっきり分かりますね。ボーイングの安定性なども音で分かり、リズム感も分かります。問題点がリアルに分かります。これは本当に驚くほどよく分かります。

近年の日本のオケのレヴェルアップ

プロの世界でも録音によって演奏レヴェルがアップしてきました。録音技術が無かった1930年代の演奏を聴くと、ヨーロッパの一流のソリストやオーケストラでも意外に音程が悪いことが分かります。ウィーン・フィルでもコンサートのライヴ録音を聴くと、1950年代位まではあまり上手くは聴こえません。

演奏レヴェルの向上にレコードが果たした役割は大きいです。1960年代になり、一流オケがレコードを沢山録音するようになると、演奏レヴェルは一気に向上しました。ヨーロッパの一流オケであっても自分たちの音を正確に聴けていなかったことを意味しています。

最近では日本のオーケストラが劇的にレヴェルアップしました。1990年代ごろからですが、一つはサイトウキネン・オーケストラという世界的ヴィルトゥーゾの登場です。もう一つは国内のコンサートのライヴ録音が増えたことです。それにより日本のオケの短所が団員自身にもストレートに伝わり、音程やリズム感の悪さがあると立ちどころに分かるようになりました。

コンサートでは感情的な高まりがあったりして演奏者も聴衆もそこまで気にしませんが、CD化されると多くのリスナーが気づいてしまいます。それにきちんと対応したので、日本のオケは急速にレヴェルアップしたのだと思います。主に技術面のレヴェルアップですが、録音するのは大事ですね。

録音して聴くことの問題

上達に関しては良いことずくめですが、本当の自分の実力が分かってしまうので、人によっては少なからずショックを受けると思います。録音して聴くと、今まで頭の中で如何に良い音に変換して聴いていたかが分かります。

確かにプロでは無いので、最高の技術の演奏を追い求める必要はありません。自分なりに満足出来れば良いですし、アマオケの中で馴染む演奏が出来れば十分です。「ショックを受けるくらいなら録音を聴きたくない」という意見があっても、別に悪いことでは無いと思います。

慣れれば大丈夫

しかし、実際に録音することを日課にすれば、一週間もすれば慣れます。人間意外と強いので、その程度でやる気を無くす人は少ないです。もちろん人によるとは思いますが。

筆者もそんなにストイックな方では無いし、メンタルが強いとも言えませんが、毎日のように録音すれば慣れてしまい、さほど気にならなくなります。自分の演奏を録音することに慣れること、が大事です。

なるべく快適に録音するために

とはいえ、あまり不快な気分にはなりたくないですよね。

あまり安い機材だと、音が薄っぺらになって、とても下手に聴こえます。また残響が少なすぎる場合もそうです。プロの演奏を録音しても下手に聴こえることがある位です。アンサンブルやオーケストラの練習を録音したりすると、実際の演奏よりも下手に聴こえるものです。

高いプロ用の器材を使う必要はありませんが、少し良い目の3万円以上のMP3レコーダーを使うと、大分音質が違います。会議用だと声が聴き取り易いように変換されてしまうので、音楽用を準備してください。慣れると逆に良い音が出せていることが分かったりします。また強弱もきちんと捉えることが出来るようになります。


TASCAM リニアPCMレコーダー ブラック DR-05

TASCAM リニアPCMレコーダー ハイレゾ/Wi-Fi接続対応 4TR DR-44WL

ソニー リニアPCMレコーダー 16GB ハイレゾ録音

マイクも大事

マイクも大事です。スマホであっても良い外部マイクを使えば、良い音で録音できる場合があります。MP3レコーダーであっても小型のものが主流ですので、マイクは小さめです。外部マイクを2つ用意してテレオ録音すると、かなり良い音質で自然な録音ができます。その位、しっかり録音できると、音色の良し悪しも分かるようになります。

マイクはLTR端子ですがこれをステレオミニプラグに変換して、MP3レコーダに接続します。MP3レコーダの種類によってはUSB接続かも知れませんので、ご注意ください。


YAMAHA ダイナミックマイク DM-105

XLR キャノンメス×2⇔3.5mmステレオミニプラグ

ステレオだとかなり聴きやすい音質になるのですが、マイクの配置に困る場合は、モノラルの音楽用マイクもあります。これでもMP3レコーダのマイクよりは高音質です。


audio-technica コンデンサーマイクロホン AT2020

残響があればなお良い

自宅の練習スペースは、あまり響き過ぎると迷惑になりそうですが、部屋が選べるなら和室よりもフローリングで、ある程度響く部屋の方が快適に録音できます。残響が録音されるとそれだけで上手く聴こえます。ある程度残響がある位の方が、周囲の人が聴いている音に近いです。

録音の聴き方

上記のように録音した演奏を聴く場合、練習スペースの残響や録音機材の性能を考えておく必要があります。例えばスマホで録音するなら音声用のマイクですので、音程とテンポ程度しか参考になりません。強弱も補正されてしまいます。

録音機材がある程度良ければ、雑音が入っているか否か、音色などもある程度分かります。

どの程度割り引いて聴くべきか、よく考えて聴いたほうが良いです。実際の演奏よりも悪く聴こえる場合が多いからです。

録音して聴くことの効果

ある程度の器材で録音すれば、非常に上達に繋がります。悪い点が立ちどころに分かるからです。下手に聴こえる分、頑張って練習することになります。音程やリズムなど、弾きながら聴くよりもずっと正確なので、悪い点を意識して練習することになります。

特別な能力は必要なく、「練習を録音して聴けば格段に上手くなる」といっても良いと考えます。

録音を聴く時間が惜しい?

録音してそれを聴くと、2倍の時間がかかります。そうすると楽器を触る時間が減ってしまいます。それでも録音した方が上手くなるでしょうか?

答えはYESです。練習するポイントが分からない状況で、いくら練習しても実はあまり上達しないのです。実際に録音して練習してみると実感できると思います。

まとめ

オケの練習では、練習を録音してサーバで共有してくれる場合があります。これを聴くとかなり下手に聴こえるので、あまり聴きたいとも思わないのですが、上達を考えればしっかり聴いておくことが大事です。

同様に個人練習も録音することが大事です。大人になって始めて短時間で上達したいなら、自分の練習を録音して聴くことを、速めの段階で実践するのが良いです。自分の練習を聴くのはあまり気分の良いことでは無いかも知れません。でも、習慣にすればすぐに慣れます。

普段から録音して聴くことを習慣にしておくことが大事と思います。